002.父のとばっちり

Rel.1, 作成：2013/02/09, 更新：2013/02/09

　1966年生まれの僕が韓国語を学び始めたのは、2003年の4月頃、つまり36歳のときです。学び始めのきっかけは別の機会に書くとして、今回は、それより前の話をします。しばらく重い話になりますが、多少はお笑いを入れるようにします。

　大雑把に言ってしまうと、その2003年4月頃より前、僕は韓国が嫌いでした。これは、今は亡き父の影響によります。

　話はさらに昔になり、もう詳細は覚えていませんが、おそらく中学生か高校生の頃、弟と一緒（たぶん）に、父から以下のような話を聞かされました。（注：要約であり、台詞ではありません。）

　「戦中、僕（＝父）と弟２人（＝叔父２人）で朝鮮半島にわたっていた。
（注：その後、３人の父（＝祖父）はわたっておらず、代わりに歳の離れた従兄弟が面倒を見ていた、と知った。）
戦争が終わると、周りの人間（当然、当時の朝鮮の人）に殴る、蹴るされて、死にそうになった。
だから、あそこの連中は好きでない。」

　あとは、朝鮮人が日本人に比べて劣っている、みたいな、いわゆる差別発言です。

　先にフォローしておくと、今現在、僕自身は人種差別、民族差別のようなものはありません。ただ単純に、人格は生まれ育った環境に影響されるものと考えます。もう一つフォローすると、タイトルの通り、父などが殴られ蹴られたのは、とばっちりであり不運だと今は考えています。だから、父が朝鮮民族を悪く思うのは当然だと思いますが、僕自身は直接の利害関係はほとんどない、という考え方をしています。

　ただ、父がこの話をした中学生か高校生の頃は、そうは考えなかったです。これまた、ただ単純に「チョーセンはキライ」でした。それがずーっと続き、少しエスカレートもしたかな。まずロッテ。ロッテが在日の方の興した会社と知るや、ロッテガムやチョコレートを食べなくなり、当然ロッテリアにも行かず「なんだ、あのパクリは！」とばかにしていました（注：偏見のあまり無い今でも、あの当時のロッテリアはオリジナリティが少なかったとは思っています。）。千葉マリンスタジアムにロッテ球団が来ることになったときは実家（京成大久保）で「この世の終わり」とまで言ってました。

　僕は焼肉が好き（注：これは父も同様）なんですけど、あの調理も朝鮮半島的ですから、ある時期から、嫌になりかけたことがありました。ただ、焼肉を食べないのはさすがに違うと思った（注：たぶん父も）のか、これはセーフになりました。ちなみに、自宅で焼肉を食べるとき「タレはモランボンのジャンがいい」としょっちゅう言っており（注：母はエバラのたれを買うことが多かった）、弟もジャンが好きだったと思うので、僕らのチョーセン嫌いは抜け穴が結構あったように、今では思いますが、基本的には嫌いでした。

　そんな調子なので、在日の芸能人は全員嫌い。パチンコは在日経営者が多いから嫌い（注：現在もパチンコは好きではないですが。）。在日の方が住んでおられる地域には一歩も足を踏み入れない。そんな調子ですから、韓国の人、北朝鮮の人と話すことはありえず、そんなこと、考えたくもなかったってところでしょう。

　話を戻して、父と叔父は戦時にどこにいたかは、実は聞いていません。史実として把握しておきたいという気持ちと、よくない思い出ゆえに、ほじくり返すのをやめようという気持ちとあり、そのままにしているってところです。

履歴